AIの進化の背景にある半導体の存在。
その半導体メーカーであるNVIDIAという企業が一体何を考えているのか。どうして時価総額世界一まで上り詰めたのか。
興味津々で読み進めて行きました。
特に気になったポイントを備忘メモで残しておきます。
ファブレス企業
NVIDIAが半導体メーカーというのは知っていたけれど、ファブレス企業というイメージはありませんでした。
ファブレス企業とは、製造工場を持たない代わりに設計だけに注力し、独自の特徴を盛り込むICを生み出すビジネスのことを言います。
つまり、PCの半導体、AIの半導体、低電力の半導体など、さまざまな用途毎の半導体の設計に注力し、製造はTSMCなどの半導体製造企業へ依頼する。
市場変化に迅速に対応し、常に最先端のGPU技術を設計・開発することで、AI・機械学習市場でのリーダーシップを確立することができたのだと理解しました。
革新的な組織構造
次の言葉が印象的でした。
この会社には上司(ボス)はいない。いるとすればプロジェクトが上司なんだ
「プロジェクトが上司」という考え方を採用するアプローチは従来の階層型組織とは一線を画しており、社員の創造性と自主性を最大限に引き出す効果があると考えられます。
この認識を組織のメンバー一人ひとりがもつことで、意思決定の迅速化や社員のモチベーション向上につながっているのでしょうね。
"How to Make"から"What to Make"へのシフト
NVIDIAは、何をつくるかに焦点を当てた戦略をしているというのも印象に残ったフレーズです。
この考え方は、単なる製品製造から、市場ニーズを先取りした革新的なソリューションの創造へとシフトしたことを示しています。
何を作るべきかを常に考え続け、その姿勢こそが時価総額世界一位という地位を得るに至ったのだと思います。
単なる半導体メーカーではなくプラットフォーマー
顧客がやりたいことを実現するためのハードウェアとソフトウェア、ソフトウェア開発環境のすべてを提供できるのが最大の強みであるということ。
お互いに消費者生産者となりながら、ステークホルダーとの良好な関係を気付いているのが、さまざまな事例を通して伺えます。
終わりに
日本が半導体産業で勝ち抜けず弱体化してしまったのは、
「半導体やそれを推進するITへの理解に乏しく、適切な経営判断ができなかったことが大きい」と本文中でもありますが、これから日本が世界で活躍していくためにはどのような立ち位置でいるべきでしょうか。
そういったことを改めて考えさせられる良いきっかけになる本でした。