ITストラテジスト

【ITストラテジスト】平成26年度秋季午前2 問題と解説

ITストラテジスト 午前2過去問題と解説シリーズ。

 

今回は、平成26年度秋季です。

 

出典:令和26年度秋季ITストラテジスト試験 午前Ⅱ問題より
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2014h26_2/2014h26a_st_am2_qs.pdf

問1 BRM (Business Reference Model)

問1 エンタープライズアーキテクチャの参照モデルのうち,BRM (Business Reference Model) で提供されるものはどれか。

ア アプリケーションサービスを機能的な観点から分類・体系化したサービスコンポーネントから成る,アプリケーションサービスの再利用を促進するためのモデル

イ 業務分類に従った業務体系・システム体系と各種業務モデルから成る,組織全体で業務やシステムの共通化の対象領域を洗い出すためのモデル

ウ サービスコンポーネントを実際に利用するためのプラットフォームやテクノロジの標準仕様から成る,組織全体での技術の標準化を促進するためのモデル

エ 組織間で共有される可能性の高い情報について,名称,定義及び各種属性を総体的に記述したモデルから成る,情報の再利用・統合を促進するためのモデル

 

【正解】イ

エンタープライズアーキテクチャ(EA)とは、企業の見える化を実現する、全体最適化を進めす際のフレームワークのこと。

EAでは、企業基盤や活動を四つの階層で考える。上に行くほど業務に基づく、下に行くほど技術に基づく概念です。

  • ビジネスアーキテクチャ(Business Architecture)
  • データアーキテクチャ(Data Architecture)
  • アプリケーションアーキテクチャ(Application Architecture)
  • テクノロジーアーキテクチャ(Technology Architecture)

それぞれのアーキテクチャで定義されている参照モデルは次のとおり。

ビジネス参照モデル(Business Reference Model) 組織全体で業務やシステムの共通化の対象領域を洗い出すためのモデル
データ参照モデル(Data Reference Model) 情報の再利用・統合を促進するためのモデル
サービスコンポーネント参照モデル(Service Component Reference Model) アプリケーションの再利用を促進するためのモデル
技術参照モデル(Technology Reference Model) 組織全体での技術の標準化を促進するためのモデル

(ア)サービスコンポーネント参照モデルの説明

(ウ)技術参照モデルの説明

(エ)データ参照モデルの説明

 

問2 IDEAL によるプロセス改善の取組み

問2 IDEAL によるプロセス改善の取組みにおいて,図の b に当てはまる説明はどれか。

ア 解決策を作り,その先行評価・試行・展開を行う。

イ 改善活動の優先順位を設定し,具体的な改善活動を作成する。

ウ 活動を分析してその妥当性を確認し,次のサイクルの準備を行う。

エ 業務の現状を調査して可視化し,改善ポイントを明らかにする。

 

【正解】イ

IDEALとは、組織におけるプロセス改善を推進する際に、具体的な活動内容を計画・定義できるように改善活動の典型的なライフサイクルを示したリファレンスモデルのこと。

“開始”(Initiating)、“診断”(Diagnosing)、“確立”(Establishing)、“行動”(Acting)、“学習”(learning)の5つのフェイズで構成されており、各フェイズの頭文字から「IDEAL」と呼ばれる。

  • 開始(Initiating) 目的を明確にして体制を確立する
  • 診断(Diagnosing) 業務の現状を調査して可視化し,改善ポイントを明らかにする
  • 確立(Establishing) 改善活動の優先順位を設定し,具体的な活動計画を作成する
  • 行動(Acting) プロセス中心アプローチと問題中心アプローチの2つがある
  • 学習(Learning) これまでを分析して次のサイクルの準備する

 

問3 BI (Business Intelligence)

問3 BI (Business Intelligence) を説明したものはどれか。

ア 企業内外のデータを蓄積し,分類・加工・分析して利用することによって,企業の意思決定の迅速化を支援する手法

イ 企業内の慣行などにとらわれず,業務プロセスを抜本的に再構築することによって,コスト・品質・サービス水準などを改善する手法

ウ 企業内の業務の流れを可視化し,業務改善サイクルを適用することによって,継続的な業務改善を図る手法

エ 企業内の異なるシステムを互いに連結し,データやプロセスの統合を図ることによって,効率よく活用する手法

 

【正解】ア

BI (Business Intelligence)とは、企業などの組織のデータを収集・蓄積・分析・報告することにより経営上などの意思決定に役立てる手法や技術のこと。

 

(イ)BPR (Business Process Reengineering)の説明

(ウ)BPM (Business Process Management)の説明

(エ)EAI (Enterprise Application Integration)の説明

 

問4 PBP (Pay Back Period)

問4 IT 投資案件において,投資効果を PBP (Pay Back Period) で評価する。投資額が 500 のとき,期待できるキャッシュインの四つのシナリオ a ~ d のうち,PBP 効果が最も高いものはどれか。

ア a

イ b

ウ c

エ d

 

【正解】エ

PBP (Pay Back Period:回収期間法)とは、初期投資額がどのくらいの期間で回収されるかを見る指標のこと。

投資額500を回収できるのは、aは4年目、bは3年目、cは4年目、dは2年目であるため、PBP の効果が最も高いものはdである。

 

問5 ベンダへの情報提供の要請

問5 IT 技術動向,ソフトウェアパッケージ情報,開発方法論などの情報提供をベンダに要請するものはどれか。

ア IFB

イ RFI

ウ RFP

エ RFQ

 

【正解】イ

RFI(Request For Information : 情報提供依頼書) はベンダに情報提供を要請する文書のこと。

 

(ア)IFB (Invitation For Bids : 入札招請書))はベンダに入札を促すために配布する文書のこと

(ウ)RFP(Request For Proposal : 提案依頼書)はベンダに提案を依頼する文書のこと

(エ)RFQ(Request For Quotation : 見積り依頼書)はベンダに対して具体的な見積り提示を要請するための文書のこと

 

問6 EMS

問6 専門の事業者が提供するサービスのうち,EMS の説明はどれか。

ア コールセンタの企画,設計から業務運用までを一括して受託することによって,委託元のコールセンタへの設備投資や人員調達を不要とするサービス

イ 人事,経理,総務などの業務を標準化してグループ内の 1 か所に集約することによって,グループ全体の間接業務のコスト削減に貢献するサービス

ウ 複数の電子機器メーカから製品の設計,製造を一括して受託することによって,生産規模を確保し,低コストで製品を提供するサービス

エ プロバイダ側のコンピュータ上でソフトウェアを稼働させて,利用者はそのソフトウェアの機能をネットワーク経由で利用するサービス

 

【正解】ウ

EMS (Electronics Manufacturing Services)とは、電子機器の製造を受託するビジネスのこと。

設計は委託元が行って製造のみを行う場合や、設計を含めて製造を行う場合がある。

EMS業者は原則として自社ブランドを持たず、受託生産を専門に行う。

 

問7 LBO

問7 LBO の説明はどれか。

ア 株式市場で一般株主に対して,一定期間に一定の価格で株式を買い付けることを公告し,相手先企業の株式を取得する。

イ 現経営陣や事業部門の責任者が株主から自社の株式を譲り受けることによって,当該事業の経営権を取得する。

ウ 投資会社が,業績不振などの問題を抱えた企業の株式の過半数を取得した上で,マネジメントチームを派遣し,経営に参画する。

エ 買収先企業の資産などを担保に,金融機関から資金を調達するなどして,限られた資金で企業を買収する。

 

【正解】エ

LBO(Leverage BuyOut)とは、M&Aの手法の一つで、借入金を活用した企業・事業買収のことを指し

買収先企業の資産を担保にして資金を調達するので、エが正しい。

 

問8 PPM

問8 PPM において,投資用の資金源として位置付けられる事業はどれか。

ア 市場成長率が高く,相対的市場占有率が高い事業

イ 市場成長率が高く,相対的市場占有率が低い事業

ウ 市場成長率が低く,相対的市場占有率が高い事業

エ 市場成長率が低く,相対的市場占有率が低い事業

 

【正解】ウ

プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)とは、多角化企業における各事業の位置を確認することで、経営資源(ヒト・カネ・モノ)の最適な分配を可能にする戦略を策定するための分析手法の一つ

「市場成長率」と「市場占有率」の2軸で各事業の規模をプロットし、追加投資や撤退の判断を行う。

「市場成長率が低く,相対的市場占有率が高い事業」は金のなる木(投資を抑えて収益を回収・収穫する段階)。

 

(ア)花形(現在の取り組みを維持・継続する段階)

(イ)問題児(育成すべき段階)

(エ)負け犬(撤退する段階)

 

問9 IVR

問9 コールセンタシステムにおける IVR を説明したものはどれか。

ア 企業ビル内などに設置して,外線電話と内線電話,内線電話同士を交換する装置

イ 顧客からの電話に自動応答し,顧客自身の操作によって情報の選択や配信,合成音声による応答などを行う仕組み

ウ コンピュータと電話を統合し,顧客データベースと PBX を連動させて,発呼や着呼と同時に必要な顧客情報をオペレータの画面上に表示するシステム

エ 着信した電話を,あらかじめ決められたルールに従って,複数のオペレータのうちの 1 人だけに接続する仕組み

 

IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答システム)とは、顧客からの電話に自動音声で対応し、顧客のプッシュボタン操作によってマニュアル化された応対を自動で処理するシステムのこと。

(ア)PBX(Private Branch Exchange:電話交換装置)の説明

(ウ)CTI(Computer Telephony Integration:電話やFAXがコンピューターと連携できるシステム)の説明

(エ)ACD(Automatic Call Distribution:着信呼自動分配装置)の説明

 

問10 消費者市場のセグメンテーション変数

問10 消費者市場のセグメンテーション変数のうち,行動的変数はどれか。

ア 社会階層,ライフスタイル

イ 使用頻度,ロイヤルティ

ウ 都市規模,人口密度

エ 年齢,職業

 

【正解】イ

消費者市場をセグメント化して分析する際に使われるものとして、四つのセグメント変数がある。

地理的変数 人口密度、都市の規模など
人口統計的変数 年齢、性別、職業、家族構成など
心理的変数 趣味、性格、価値観、ライフスタイルなど
行動的変数 購買行動、購買動機、使用頻度など

 

(ア)心理的変数

(ウ)地理的変数

(エ)人口統計的変数

 

問11 エスノグラフィーの活用事例

問11 マーケティング調査におけるエスノグラフィーの活用事例はどれか。

ア 業界紙や業界新聞,調査会社の売れ筋ランキングなどから消費者の動向を探る。

イ 広告の一部に資料請求の項目を入れておき,それを照会してきた人数を調べる。

ウ 消費者行動の現場で観察やインタビューを行い,気付かなかった需要を発掘する。

エ 同等の条件下で複数パターンの見出しを広告として表示し,反応の違いを測る。

 

【正解】ウ

エスノグラフィーとは、集団や社会の行動様式をフィールドワークによって調査・記録する手法のこと。

消費者の潜在的ニーズを発掘する手法として活用されている。

 

問12 顧客生涯価値(LTV)

問12 顧客の収益が表のように見込まれるとき,3 年間の顧客生涯価値(LTV)は何百万円か。ここで,割引率は 10 % とし,計算は百万円未満を切り捨てるものとする。

ア 65

イ 67

ウ 70

エ 73

 

【正解】イ

顧客生涯価値(LTV:Live Time Value)とは、顧客が自社と取引を開始してから終わるまでの間に、どれだけの利益をもたらすのか、その総額を表す指標のこと。

LTVは、(年間収益÷割引係数)の累積和で求めることができる。

1年目:50÷1.0=50

2年目:10÷1.1=9.1

3年目:10÷1.2=8.3

よって、累積和は50+9.1+8.3=67.4

 

問13 ファイブフォース分析

問13 ファイブフォース分析において,企業の競争力に影響を与える五つの要因として,新規参入者の脅威,バイヤの交渉力,競争業者間の敵対関係,代替製品の脅威と,もう一つはどれか。

ア サプライヤの交渉力

イ 自社製品の品質

ウ 消費者の購買力

エ 政府の規制

 

【正解】ア

ファイブフォース分析とは、企業の競争力に影響を与える5つの競争要因から、業界の構造分析を行う手法のこと。

それぞれの力関係が強ければ強いほど収益性は低く、逆に弱ければ弱いほど収益性は高いとされる。

なお、新規参入の脅威、代替品の脅威は外部脅威。

売り手の交渉力、買い手の交渉力、業者間の敵対関係は内部脅威。

 

問14 CSF 分析

問14 経営戦略に用いる CSF 分析で明らかになるものはどれか。

ア 業界内の競争に影響する要因と,自社の強み

イ 

ウ 成功するための重要な機能や特性

エ 保有する事業の成長性と収益性

 

【正解】ウ

CSF(Critical Success Factor)とは、重要成功要因と呼ばれ、目標を達成する上で最も影響がある要因のこと。

 

問15 カーブアウト

問15 カーブアウトの説明として,適切なものはどれか。

ア 企業の経営者などが自社の株式や事業部門を買収すること

イ 競争相手に知られたくない技術を,特許取得せずノウハウとして社内に秘匿すること

ウ 自社の事業の一部を戦略的に切り出し,埋もれた技術や人材を社外の別組織として独立させること

エ 製造委託契約を締結し,外部から完成品を調達すること

 

【正解】ウ

カーブアウトとは、会社分割の一種で、親会社が戦略的に小会社や自社の事業の一部を切り出し(carve out)、新会社として独立させること。

 

問16 プロダクトライン開発

問16 製品のロードマップに従って製品を開発していく場合に,プロダクトライン開発を適用する利点はどれか。

ア 技術者個人の力を組織力よりも重視するので,成熟度が低い組織でも製品開発に成功しやすい。

イ 品質が安定した資産を再利用していくので,品質が安定した製品を低いコストで開発できる。

ウ ロードマップ上の各製品を完全に独立して開発していくので,一つの製品の不具合が他の製品に波及することがない。

エ ロードマップ上の最初の機種の開発開始時に,開発環境を準備するなどの初期投資が不要なので,市場への新規参入が容易になる。

 

【正解】イ

プロダクトライン開発とは、体系的・戦略的に再利用可能な資産を開発し、この資産に基づいてプロダクトを開発することで、開発効率を上げる開発手法のこと。

 

問17 TOC (Theory of Constraints)

問17 TOC (Theory of Constraints) の特徴はどれか。

ア 個々の工程を個別に最適化することによって,生産工程全体を最適化する。

イ 市場

ウ スループット(=売上高-資材費)の増大を最重要視する。

エ 生産プロセス改善のための総投資額を制約条件として確立された理論である。

 

【正解】ウ

TOC(Theory of Constraints)は、制約の理論とも言い、全体のスループットの増大を最重要視する。

全体のスループットは、生産工程に存在するボトルネック工程が決定するので、ボトルネック工程の能力に合わせて最適な生産を行ったり、ボトルネック工程を重点的に改善するなどしてスループットの増大を測る。

 

問18 生産計画

問18 ある会社の生産計画部では,毎月 25 日に次の手続で翌月分の計画生産量を決定している。8 月分の計画生産量を求める式はどれか。

ア I6+P7-S7+S8

イ S8+S9+S10+S11-I7

ウ S8+S9+S10+S11-I8

エ S9+S10+S11-I7

 

【正解】イ

毎月25日に翌月の生産計画を立てるので、8月の計画生産量は7月に決定する。

つまり、当月は7月、前月は6月になる。

 

[手続]1,2を計算式に表すと次のようになる。

(1)当月末の予想在庫量 = 前月末実在庫量 + 当月分計画生産量 - 当月分予想販売量

(2)翌月末の予想在庫量 = 当月末実在庫量 + 翌月分計画生産量 - 翌月分予想販売量

= 翌々月から3か月間の予想販売量

 

In:n月の月末在庫量、Pn:n月分の生産量、Sn:n月分の販売量でそれぞれ代入してみると

(1)I7 = I6 + P7 - S7

(2)I8 = I7 + P8 - S8

= S9 + S10 + S11

が成り立つ

(2)は、I7 + P8 - S8 = S9 + S10 + S11であるから、

P8について解くと

P8 = S8 + S9 + S10 + S11 - I7 となる。

 

問19 HEMS

問19 HEMS の説明として,適切なものはどれか。

ア 太陽光発電システム及び家庭用燃料電池が発電した電気を,家庭などで利用できるように変換するシステム

イ 廃棄物の減量及び資源の有効利用促進のために,一般家庭及び事務所から排出された家庭製品の有用な部分をリサイクルするシステム

ウ ヒートポンプを利用して,より少ないエネルギーで大きな熱量を発生させる電気給湯システム

エ 複数の家電製品をネットワークでつなぎ,電力の可視化及び電力消費の最適制御を行うシステム

 

【正解】エ

HEMS(Home Energy Management Service)は、家庭内で電気を使用している機器について、一定期間の使用量や稼働状況を把握し、電力使用の最適化を図るための仕組みのこと

 

問20 コンピテンシモデル

問20 コンピテンシモデルの説明はどれか。

ア 権限行使と命令統制による労務管理を批判し,目標管理制度や経営参加制度などによる動機付けが有効であるとしたもの

イ 最適なリーダシップの唯一のスタイルは存在せず,望ましいリーダシップのスタイルは,状況に応じて異なるとしたもの

ウ 人材の評価や育成の基準とするために,恒常的に成果に結び付けることができる個人の行動や思考特性を定義したもの

エ 人間の基本的欲求を低次から,生理的欲求,安全の欲求,所属と愛の欲求,承認の欲求,自己実現の欲求としたもの

 

【正解】ウ

コンピテンシモデルとは、成果を挙げる社員(ハイパフォーマー)の行動特性をもとに作成する「理想の社員像」のこと。

社内で成果を上げている人にヒアリングして作られる実在型モデル、企業が求める理想の人材像をベースに作られる理想型モデル、それらを組み合わせたハイブリッド型モデルなどがある。

 

(ア)人的資源管理におけるモチベーション重視論の説明

(イ)SL理論の説明

(エ)マズローの欲求5段階説の説明

 

問21 マトリックス組織

問21 マトリックス組織を説明したものはどれか。

ア 事業部制組織と職能性組織との両方の特徴を生かそうとする組織である。

イ 

ウ 製品群などを事業単位として構成し,事業単位ごとに意思決定を行う組織である。

エ 専門性を生かした組織であり,研究開発,製造,販売,人事・総務,経理・財務のような職能別に構成された組織である。

 

【正解】ア

マトリクス組織とは、従来の「職能」と「事業部」、または「エリア」の2つの系列を縦・横に組み合わせて網の目のようになった形態の組織のこと。

 

問22 ROE (Return On Equity)

問22 ROE (Return On Equity) を減少させるものはどれか。

ア ROA の増加

イ 自己資本比率の増加

ウ 総資本回転率の増加

エ 当期純利益率の増加

 

【正解】

ROE(Return on Equity:自己資本利益率)は、ある企業が一年間の企業活動を通じて「株主の投資額に比してどれだけ効率的に利益を獲得したか」を判断するのに用いられる指標のこと。

自己資本利益率(ROE)=当期純利益÷自己資本×100

で求めることができるので、自己資本の比率が上がるとROEは減少する。

 

一方、ROA(Return On Assets : 総資産利益率)は,総資産(自己資本に負債を含めたもので総資本と同義)がどれだけの純利益を稼いだかを示す指標のこと。

ROA=当期純利益÷総資本

で求めることができる。

 

問23 連結損益計算書

問23 次の条件において A 社の連結損益計算書を作成した場合の連結売上高は何百万円か。

[条件]

  • A 社は,B 社の株式の 80 % を取得している。
  • B 社は,C 社の株式の 60 % を取得している。
  • B 社は,D 社の株式の 20 % を取得している。ただし,役員の派遣などはない。
  • A 社の売上高は,700,000 万円であり,その 10 % は,B 社に対するものである。
  • B 社の売上高は,350,000 万円であり,その 20 % は,D 社に対するものである。
  • C 社の売上高は,250,000 万円である。
  • D 社の売上高は,200,000 万円である。
  • A 社と B 社,B 社と D 社以外の相互間取引はない。

ア 1,230,000

イ 1,300,000

ウ 1,360,000

エ 1,430,000

 

【正解】ア

「A 社は,B 社の株式の 80 % を取得している。」ので、A社はB社の親会社である。

「B 社は,C 社の株式の 60 % を取得している。」ので、A社とB社はC社の親会社である。

「B 社は,D 社の株式の 20 % を取得している。ただし,役員の派遣などはない。」ので、B社はD社の親会社ではない。

A社の子会社は、B社とC社ということになり、A社・B社・C社の連結決算を行う必要がある。ただし、A社・B社・C社間の売上は除外することに注意。

7,000億円(A社売上高)+3,500億円(B社売上高)+2,500億円(C社売上高)ー700億円(A社のB社に対する売上)=12,300億円となる。

 

問24 電子計算機使用詐欺罪

問24 刑法の電子計算機使用詐欺罪が適用される違法行為はどれか。

ア いわゆるねじみ講方式による取引形態の Web ページを開設する。

イ インターネット上に,実際よりも良品と誤認させる商品カタログを掲載し,粗悪な商品を販売する。

ウ インターネットを経由して銀行のシステムに虚偽の情報を与え,不正な振込や送金をさせる。

エ 企業の Web ページを不正な手段で改変し,その企業の信用を傷つける情報を流す。

 

【正解】ウ

電子計算機使用詐欺罪とは、コンピュータ詐欺罪とも言われ、コンピューターやその電磁的な記録を不正に操作するなどして、詐欺罪にあたる行為をする罪のこと。

 

問25 シングルサインオンの実装方式

問25 シングルサインオンの実装方式の特徴のうち,適切なものはどれか。

ア クッキーを使ったシングルサインオンの場合,サーバごとの認証情報を含んだクッキーをクライアントで生成し,各サーバ上で保存,管理する。

イ クッキーを使ったシングルサインオンの場合,認証対象のサーバを,異なるインターネットドメインに配置する必要がある。

ウ リバースプロキシを使ったシングルサインオンの場合,認証対象の Web サーバを,異なるインターネットドメインに配置する必要がある。

エ リバースプロキシを使ったシングルサインオンの場合,利用者認証においてパスワードの代わりにディジタル証明書を用いることができる。

 

【正解】エ

シングルサインオン(SSO:Single Sign On)とは、一度のID・パスワードによるユーザー認証を行うだけで、複数のwebサービスやアプリケーション、クラウドサービスなどにログインすることができる仕組みのこと。

シングルサインオンの実装方式には、複数ある。

代行認証方式 クライアントに導入したエージェントが、シングルサインオン対象システムのログイン画面を監視し、ログイン画面が起動したら認証情報を代行入力(代理認証)する仕組み
リバースプロキシ方式 リバースプロキシと呼ばれる中継サーバで認証を行い、リバースプロキシ経由でシングルサインオン対象システムにアクセスする仕組み
エージェント方式 シングルサインオン対象システムにエージェントを導入する方式
SAML認証方式 異なるインターネットドメイン間でユーザー認証を行うための標準規格であるSAML(Security Assertion Markup Language)を用いた方式

 

参考書

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