NHKのEテレで放送されている「人間ってナンだ?超AI入門シーズン3」。
現代は「IT×●●」というように、あらゆるものにITが入っている時代です。
そして、人工知能(Artificial Intelligence)の進化・発展に伴い、近未来は様々な分野で「AI×●●」となっていくと私は考えています。
だからこそ、多くの人がAIの最低限の知識と理解をしておくべきではないでしょうか。
この番組では、AI技術の紹介、また実際の活用事例なども取り上げられていて、超AI入門というように非常にわかりやすく面白い番組ですので、毎回備忘録的に記事として残しています。
シーズン3では、実践編。第6回のテーマは「お金を使う」です。
Contents
動物は責任取れないけど人間は責任取れる
番組冒頭では、AI導入における課題について触れらていました。
AIがいくら導入されていったとしても最終的に判断するのは人間という話です。
軍事の中ではよく使われる言葉だそうですが、ヒューマンインザループ(人間参加型のシステム)という考えがある。
敵を見つけて撃つというようなことを機械がする際に、どこかで人間が挟むべきという議論がまさにヒューマンインザループですね。
ただ、その一方で、人が入ることでスピードが遅くなるというボトルネック(システム上の制約)も考えられます。
謝罪ロボットなども最近では出てきましたが、人間ならではという観点や人間にしかできないことというテーマは奥深いテーマだなと思いますね。
AI活用による新しい小売の形とは
広がっていく無人店舗運営
最近は、コンビニやスーパーなどの無人化が話題になってきています。
実際に大学内やビル内で試験的に導入がスタートしていますね。
メリットとしては、
・万引きされることのリスクを軽減するセキュリティー対策
・店舗内の人間の行動データやどういう商品が取られやすいかといったマーケティングデータの蓄積
・小人化
・販売サイクルへの応用
などが挙げられます。
無人店舗で使われているAI技術
AIを駆使した無人店舗が今後広がっていくと考えられていますが、それを支える技術として物体認識(Object Detection)が紹介されていました。
まさにディープラーニングの活躍する分野なわけですね。
例えば、カメラの中に映った情報から人を検出するところ。
そして、画素レベルでそれが何かを認識するセマンティックセグメンテーションという手法を組み合わせて分析しているとのことでした。
商品を手にとって戻した時間、買わなかった人間の行動、通ったルートなど
ビッグデータを蓄積し、様々な分野において活用していくことが期待されています。
無人レジ店舗における人間の行動心理とは?
こちらも面白いなと思ったので紹介しておきますね。
無人レジ店舗での物品の購入は、実際にお金を支払って購入しているとは言え、ただモノを持っていくみたいな感じで不思議な感覚になりますよね。
パノプティコン(イギリスの哲学者ベンサムが考察した一望監視システム)という言葉が紹介されていましたが、人間側がまだ無人レジの感覚に慣れていないんだなと改めて感じました。
CMや広告にも活用されるAI
CMの効果を測定する視聴率調査会社もあるそうで、そこでもAI活用がされていると紹介されていました。
過去のアンケート結果を教師データとして、
・認知率
・好意度
・購入喚起度
・興味関心
の4つの指標で計測するものらしいです。
ディープラーニングによってCMの画像を認識し分析した結果を、
過去のアンケート結果と照らし合わせて画像の特徴と印象の傾向を導き出す仕組みみたいです。
アイキャッチとしてシーンそれぞれがどれくらい魅力的なのかも大事でもあるのはもちろんのこと、
本来はストーリー性も加味されていく必要があるとのことで、人間の美的感覚というのは簡単には測れないのかなと感じました。
CMや広告と言っても受け取り方は人それぞれです。
今後、AIを使ってパーソナライズされていく道も十分考えられるなと思います。
AIが当たり前の顧客体験に
クリーニングに持ち込まれた衣類が、どんな洋服なのかを認識するところにAIが活用されているというものも紹介されていました。
開発を行なった方のインタビューは非常に関心させられました。
AIを使って猫と犬の違いを認識できるなら、シャツとズボンも認識できるのでは!?とアイデアが浮かんだみたいです。
(そういう発想に転換できる柔軟さが本当に素晴らしいですね!)
そしてさらに驚きだったのが、それが都会のど真ん中で行われているのではなく、田舎町だということ。
高齢化により人口減少、働き手が少なくなっていく中で、いかにAIが活用されていくかが本当に重要なんだなと強く思いますね。
AI時代に必要なお金に対する考え方とは?生き方とは?
番組後半では、世界的雑誌の創刊者であるケヴィン・ケリー氏が「AI時代に必要なお金に対する考え方とは?生き方とは?」について語っていました。
私は、非常に重要なことだなと感じたのでそのまま引用します。
「ビジネスなど些細なことです。ビジネスで私たちも変化しますが、それは本質的な話ではありません。
それよりも大事なのは、私たちが持つ価値観に照らして、自分たちが何者であるかです。
結局は自分たち自身をどうみるか。その大きなビジョンにビジネスが追随するだけなのです。
金儲けなど退屈でちっぽけなものです。
どこを目指すか、自分が何者なのか、そのビジョンを持つことの方がはるかに重要です。
AIの影響をより大きく受けるのは、そのような部分です。
AIでお金を儲けるのは簡単です。
でも、そのお金で何をするのか、なぜ欲しいのか、何のためか、それに答える方がずっと難しいのです。
1日何をしよう、なぜここにいるのだろう・・・AIの出現がもたらす問いです。
朝起きたら何をしますか?
ロボットが農作業をしてくれるので、食物を育てる必要もないかもしれません。
では、何をしたいですか?その目的は?
本当の変化は、こうした問題に答えなければならなくなるということです。
なぜ朝起きるのか、なぜ働くのか、なぜ何かを生み出すのか、その目的は何か?
お金を稼ぐため? そうです。
新しいテクノロジーによって衣食住を得ることは簡単になり、それほど重要なことではなくなると私は考えています。
重要なのは、なぜここにいるのか、目的は何かということで、個人としてもグループとしても答えを出すことが遥かに難しい問題です。」
「人間ってナンだ?超AI入門シーズン3第6回」ケヴィン・ケリー氏の言葉引用
感想
今回は「お金を使う」がテーマでした。
AI活用はあらゆる分野、ジャンルでこれから浸透していくんだろうなと改めて感じました。
そして、それは誰か研究者やAI会社がやっていくのではなく、一人ひとりがやっていかなければならないと思います。
人間は便利だと思ったことを辞めることはしませんね。
社会全体が新しいステージに上昇するためには、一人ひとりの苦手意識やITリテラシーを高めることが必要だと思います。
そして、繰り返しになりますが番組最後のケヴィン・ケリー氏の言葉の引用部分。
テクノロジーはあくまで道具ですね。それを通してどうなりたいのか、もしくはどうなりたいかのためにテクノロジーを活用するのか?
科学と哲学の境界線は無いように感じました。
人間一人ひとりの尊厳が満たされるために、AIを道具にし、AIと共創していくこと。
そんな人間を育てるための教育革命が何より急務だなと感じます。
オススメ図書
番組にも出演されている東京大学の松尾教授の講演をお聞きした際に、人工知能関連の推薦図書が紹介されていました。
私もこれらの図書を通して、一般的な知識は身についたと思っていますので、興味のある方はぜひお手にとってみてください。
・入門書として
・読み物として