超AI入門

【AI×勝負する】人間って何だ?超AI入門シーズン2第5回

NHKのEテレで放送されている「人間ってナンだ?超AI入門シーズン2」

現代は「IT×●●」というように、あらゆるものにITが入っている時代です。

 

そして、人工知能(Artificial Intelligence)の進化・発展に伴い、近未来は様々な分野で「AI×●●」となっていくでしょう。

 

日進月歩で開発が進むAIの進化の先に、どんな未来が待っているでしょうか?

さて、シーズン2の第五回のテーマは「勝負する」です。

人間が勝負の世界に見出すもの

囲碁や将棋という勝負では、すでにAIが人間に勝つ時代です。

 

AIを活用することによって、今までの勝負の常識を超えた新しい戦略が生まれたり、

また、ゲームの世界だけではなくどんな勝負でもデータを活かして役に立つことができる。

AIのさらなる可能性を感じた今回の放送でした。

 

そもそも人間が勝ち負けに熱中する理由は何でしょう?

番組内でカイジの著者である福本伸行先生は、

「勝負は勝ったり負けたりするから面白いわけで、あらゆるものが優れたAIに負けるのが当たり前」

と仰っていました。

 

私もこれにはかなり同意見で、AIvs人間という縮図ではなく、人間がよりバージョンアップしていくための道具としてAIが使われていったらいいなと思っています。

 

「勝負の面白さは勝ち負けだけではなく、楽しむことや戦略や心理戦を加えることで面白さは増幅していく」といった内容には、なるほどなという思いと、人間って面白い存在だなと改めて感じました。

 

 

完全情報ゲームと不完全情報ゲーム

多様な勝負の世界がありますが、大きく分けて完全情報ゲーム不完全情報ゲームの分類が紹介されていました。

 

完全情報ゲーム

囲碁や将棋など自分と相手の全ての手がわかるゲーム。

完全情報ゲームでは、1997年にチェスでAIが人間に勝利。

また、2016年は完全情報ゲームの中でもっとも複雑とされる囲碁でDeepMind社が開発したAlphaGoがトッププロを超えた。

 

不完全情報ゲーム

麻雀など見えていない牌があるようなゲーム。

例えば麻雀でいうと、見えていない牌が何なのかを予測することと、相手がどういう戦略で手を作っているのかを読むこと、そうした上で自分の牌の切り方を選ぶというようなこと。

 

 

AIが人間に勝つまでの学習方法

そもそも、AIが人間に勝つようになるまでにどういう学習をしているかというと、

1)人間の対局データから勝利に繋がる選択肢を学ぶ

2)そのデータをもとにAI同士で対戦、新たな手を見つける

という手法が一般的だそうです。

 

しかし、人間を囲碁で倒したAlphaGoの進化は止まりませんでした。

 

AlphaGo

プロ棋士の棋譜データで学習し、そこから自己対局で学習

(つまり、一般的な学習方式1)と2)を経て人間に勝利した)

 

AlphaGo Zero

AlphaGoが人間に勝利してから1年後、プロ棋士の棋譜データなしで自己対局のみでさらに強くなった。

(先ほどの1)をやらなくなった)

人間の棋譜から学ぶというスタートダッシュが必要なくなった上に、わずか3日間でトッププロを超えた。

その対局スピードは1時間で7万局だそうです(驚!)

 

将棋プログラムPonanzaを開発した山本一成氏が番組の中で、ディープラーニングでboard gameを扱うことに対しては十分洗練されてきていて、その要因について述べられていました。

 

【board gameでAIが洗練されてきた要因】

・ディープラーニングの力

・マシンパワーの向上

・ノウハウの蓄積

 

ということだそうですが、2015年、2016年あたりから本当に凄まじい進化をしているような印象がありますね。

 

AIは、人間の過去の経験や体験をベースにした学習方式から、独学で学ぶようになってしまったわけですが、

私は、人間の”知”に対する向き合い方が根底から揺さぶられてくるのではないでしょうか。

 

 

AIが新たなゲームを開発する時代は来るのか?

松尾教授が仰っていた「囲碁が持つフラクタル性」という話が個人的には大ヒットで非常に面白かったです。

 

内容は、

「囲碁は何手か先を読んで探索していく。読むと評価が変わる。(これを水平線効果と呼ぶ)。

自分が見えている先は見えない。でも先まで見るとまた評価が変わる。

ということが何度も何度も起こるゲームほど面白い。

一見するとよくない手なんだけれど、実は先の先まで読むと実は良い手っていうのが何重にも起きる。

だから、囲碁というのはフラクタル性があるんじゃないか。」

 

フラクタル性

部分が全体の相似形 同じ構造が現れる性質

一見複雑に見える形も細かに分析していくと同じ形からできている自然界の不思議

 

囲碁はまさに、部分の勝負から全体の勝負に反映していく様子が見られるフラクタル性を持っているということになりますね。

人間は3重4重までなら読むことができるけど、AIは5重6重と先を読んでいく。

当然、人間が今まで定石としていた手を超えてAIが全く未知の手をうってくることもあり得るわけです。

 

つまり、AIがフラクタル構造のあるゲームを今後新たに見つけ出してくる可能性も十分あるということが考えられる。

ゲーム性は構造と設定に宿るというキーワードがありましたが、逆転現象が生まれやすいゲームをつくってブームになるということも近未来に起きるかもしれませんね。

 

勝負の世界にどんどん導入されるAI

番組では、野球のメジャーリーグやSoftBankホークスが導入しているAIについても紹介されていました。

 

センサーや画像解析を駆使して、ポジションごとの運動量や打率などの過去の全ての記録を取って分析する。

その内容をもとに、フォームを改善したり、戦略を変えたりとかなり応用の幅が広いなと感じることができます。

一人ひとりに専属のパーソナルコーチがついたようなイメージかもしれません。

 

AIを導入することで、野球界も常識が変わってきますね。

テクノロジーを道具にした新しいスポーツのあり方というのも今後話題になってくるのかなと思います。

 

人間は何で勝負をするのか?

番組内で「人間は何で勝負をするのか?」という問いがありました。

 

それに対しては、人間と存在は感情を動かしたい。

もしくは、感情を揺さぶられないように自分を律するという内容でした。

感情といものは、勝負の世界では常についてくるものです。

しかし、感情が揺さぶられなければそれは単なる労働でしかありません。

 

では、そもそも感情が何で人間にあるのか?というテーマになってきますね。

 

そのテーマに対しては、松尾教授が

「感情が人間にあるのは、生存のため、生きていくため。

その目的にとって良いことはプラスの感情、そうじゃないものはマイナスの感情。

生存の指標になっている」

というコメントがあってなるほどなぁと思いました。

 

一方、

「AIは生命じゃないので生きる目的がない

当然感情を持たないし、頑張ることもない

人間は生命であるが故に感情が紐づいていて

その感情がドラマを作る」

 

人間らしさって何なのか?

人間一人ひとりのストーリーって何だろうか?

 

そういうことを考えさせられるテーマだなと私は感じました。

 

感想

人間が何のために生まれて何のために生きるのか?

AIを通して人間という存在を知るという構造が本当によく見えました。

 

人間の思い込みや常識は一度入ったらなかなか抜け出せないものです。

過去の経験や体験に依存した生き方はいつでもデータ化されAIに取って代わられていくと思います。

 

自然界のシンプルな動き一つのイメージを使って既存のイメージや概念をシンプルにゼロ化し、

いつも自分の人生を新しくクリエイトするゲーム感覚(勝負感覚)というものを蓄積していこうと感じました。

 

 

オススメ図書

番組にも出演されている東京大学の松尾教授の講演をお聞きした際に、人工知能関連の推薦図書が紹介されていました。

私もこれらの図書を通して、一般的な知識は身についたと思っていますので、興味のある方はぜひお手にとってみてください。

・入門書として

 

・読み物として

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